これまでに世界で様々な感染症が発生し、公衆衛生上の問題となりました。今後も病原体不明の新しい感染症(新興感染症)や、過去に問題となった感染症の再流行(再興感染症)が起こる可能性があります。治療薬が確立されていない感染症の場合、感染症から回復した人の血液に含まれる抗体(病原体に対抗できる成分)を投与する治療を行うことがあります。これまで様々な感染症の治療に用いられてきた方法で、この治療のためには回復者の血漿(回復者血漿)が必要です。
この研究では、研究参加者の方を新型コロナウイルス感染症の回復者に見立てて、回復者血漿をいただくための問診や検査を行った上で、献血を行う日本赤十字社にご案内する、というシミュレーションを行います。
感染症の流行とは関係なく、日本では日本赤十字社による「献血」を通して、免疫グロブリン製剤などに使う血漿の採取が行われています。しかし感染症が流行した時、感染症の回復者から血漿をいただく場合は、通常の献血とは異なる検査が必要です。
具体的には、医療機関で感染症回復者の方の健診を行い、「安全に血漿をいただけるか」「抗体がたくさん含まれているか」などを調べる必要があります。また、通常の献血とは区別された場所で献血を行ったり、通常の製剤製造を止めて区別して製剤製造を行う必要があります。
新型コロナウイルス感染症の流行の時は、このように医療機関で行う健診の仕組みづくりや、その後の献血の体制作りに非常に時間がかかってしまいました。この経験を踏まえて、新たに感染症の流行が発生した時のために、この研究に同意された方を感染症回復者に見立てて、仕組みづくりや連携体制づくりのシミュレーションを行います。
血漿(けっしょう)とは、血液中の赤血球・白血球・血小板などを取り除いた液体部分です。血漿中にはウイルスなどの病原体を不活化する(やっつける)様々な抗体が含まれます。
感染症から回復した人の体の中では、その感染症に対する抗体が作られ、血液にも含まれています。
抗体がたくさん含まれた血漿を、新たに感染した人に投与することで治療に役立てることができます。また、抗体を濃縮した薬剤(免疫グロブリン製剤)を製造することで、治療に役立てることができます。
この研究への参加によりあなたが直接的な利益を受けることはありませんが、将来の感染症流行への対策準備に貢献していただくことができ、社会や医療全体の利益になる可能性があります。
また、健康診断や新型コロナウイルス感染症の抗体検査結果を知ることができます。検査の費用負担はありません。
抗体を測定する際は45mL程度(採血管8本くらい)の採血を行います。
献血は献血ルームに訪問するだけですが、本研究では健診のために国立国際医療研究センターにも訪問していただく必要があり、訪問が1回余分に必要です。
また、検査のために2時間程度の時間がかかります。
抗体検査やこの研究で必要なその他の検査は研究費で行いますので、費用はかかりません。
国立国際医療研究センターでの健診のため、1回来院をお願いしています。
また、健診の結果、供血が適格と判断されましたら、日本赤十字社にご案内しますので、献血に行っていただきます。
研究に参加できる方、参加できない方には基準があります。 研究に参加できる方 をご確認ください。
当日は、保険証とマスクをお持ちください。(費用はかかりません)
研究実施機関および問い合わせ先 ページをご参照ください。